黒い太陽がミルキーウェイの上に浮かび、その下の惑星は雲に覆われている。この画像はSNSで日食時にシェアされることが多いため、この写真を見たことがある人は少なくないかもしれません。実はこれ画像、国際宇宙ステーション(ISS)から撮影された写真ではなく、宇宙イメージを専門とするイラストレーターのRyuunosuke Takeshige氏の無断転載されたイラストです。彼のEclipse(皆既日食)画像は、世界中で有効なライセンスが無く何度も使用されており、Takeshige氏が怒りたくなるのも無理はありません。今回はTakeshige氏の興味深いお話を聞かせてもらいました。
元を辿りますと、私が幼少期の頃、学校の図書館で見たハッブル宇宙望遠鏡の写真集を見たのがきっかけです。当初は望遠鏡を使って写真集で見たような綺麗な天体写真を撮りたかったのですが、カメラに天体望遠鏡と …とても子供の頃に買える代物ではなかったので、家で宇宙の絵を描くという日々を過ごしていました。その後、ネットの記事で図鑑や論文の挿絵を描くサイエンスイラストレーションという仕事がある知り“これだ!“と思い本格的にEclipseのような幻想的な宇宙の絵を描き始めました。
Takeshige氏がスキルを得るにつれて、作品の精度が上がっていきました。長い年月を経て、彼の情熱を職業に変えることができました。今日では国立天文台や東京大学、イェール大学などにも作品を提供しています。
成功すれば増える無断転載…Takeshige氏も例外ではなかった
光のあるところには、闇もあります。作品がユニークで特別であると、有効なライセンスや著者の許可さえもない無断転載の数は比例してしまうのが現実です。Takeshige氏は自身の経験を以下のように話します。
ネットで画像の無断転載が流行っていると耳にして、Eclipseの出典元に「この画像を無断転載しているサイトを見つけたら私にメールして」と記載したところ、世界中から問い合わせメールがぞくぞくと届くようになりました。1件1件メールの内容を確認すると、殆どが個人が勝手にアイコンとして使用しているという内容だったのですが、中には無断で商業的な商品のパッケージに起用したりや商業的なサイトで広告の一部に使用するという悪質な物も見受けられました。この事態を受け本格的に抗議文を送る等の処置を行っていたのですが、ぞくぞくと問い合わせメールの量が増えていき、最終的には月に60通を超えるメールが届き、まったく仕事にならない事態に発展してしまいました。
COPYTRACKによる無断転載対応
Twitterを見ていた際に画像無断使用者への請求代行が可能なCOPYTRACKというサービスがあると知り直ぐに登録しました。以前は個人でEclipseだけでも数えきれない程の無断使用を確認・処置してきました。COPYTRACKに登録して驚いたのは、画像をアップロードするだけで無断使用者のサイトと見積もり料金が一発で出る点です。また、今まで諦めていた海外の無断使用者に対してもライセンス提案。しかも、英語での対応はほぼ不要で日本語の対応が可能だという点が気軽で良いなと思いました。今回、登録したおかげで今まで費やしてきた時間が大幅に削減できたので、仕事に専念できとても助かっています。個人・企業問わず画像盗用の悩んでいる方は利用する価値が多いにあると思います。
COPYTRACKのサポートにより、Takeshige氏のEclipse画像
40件以上のケースに対して世界中の無断使用者が支払いに応じました。
► Ryuunosuke Takeshige
フリーランスのScience Illustrator。天文学を専門とした描いて活動している。
X線天文衛星”ひとみ”、スペース探査衛星”あらせ”、火星探査計画”MMX”の公式アートワークを担当。
東京大学や国立天文台から発行された論文の挿絵制作を担当(英科学誌”Nature”掲載有り)
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