毎日インターネット上のあらゆるところで数え切れない程の画像の多くが無断で使われています。IMGembedとCOPYTRACKの調査によると、1日に30億枚の画像がオンラインでシェアされ、その内の85%がライセンスがありません。25億枚の画像が無断転載ということになります。
多くの画像使用者は画像を使用することが著作権侵害になり得ることを認識していません。アーティスト、写真家、フォトエージェンシー、その他の著作権者でさえ無断転載の事実に気づかず被害にあっていることもよくあるのです。この問題は著作権者が得るはずの収入が得られない損失という事実につながります。無断転載の結果による売上損失はなんと一日5365億ユーロにも届くと想定されています。さらにこの大規模な無断転載は、写真家の作品に対する尊敬の欠如も残念ながら示しています。
オンライン無断転載の規模意識を高めるため、COPYTRACKはどこでどのようにオンライン無断転載が発生しているかを定期的に調査しています。
► COPYTRACK無断転載グローバルレポート2019は、無断転載を追跡するCOPYTRACK社ウェブクローラーによるものです。このレポートを作成するにあたり、12,000以上のユーザープロフィールの統計分析を行いました。COPYTRACK無断転載グローバルレポートはそれらの結果に基づいています。割合は、2017年12月から2018年12月までの期間における無断転載の可能性の割合を示しています。
世界での無断転載のトップバッター
大陸ごとの無断転載を見ると、無断転載率33.90%と世界で3番目に大きい大陸の北アメリカが第1位です。ヨーロッパは31.40%と第2位、それに続きアジアが第3位の39.38%となっています。更に詳しく国ごとに見ていきましょう。
国ごとで見ると、世界中の全てのヒットの22.96%がアメリカでトップの比率で無断転載が起きています。やはり国自体の大きさと、そこで運営されている純粋なウェブサイト数から驚くこともありません。そして約400万人の人口の国パナマが6.76 %の第2位となっています。それはなぜでしょうか?この意外な結果はプライバシー保護サービスにより、運営者は第三者のドメインでパナマに本当の所有者情報を隠すために登録している傾向があるようです。コピーと言えば世界トップだと思われがちな中国、中国の人口はアメリカの3倍ですが、驚くべきことに6.57%と第3位でした。
それに続くトップ10の6か国は、全て3%代となっています。イギリスの3.75%、インドネシア、日本、イタリア、ロシア、リストの最後はフランスの3.03 %です。
アジアでの無断転載
アジアの中では中国が明らかに24.28%と無断転載で群を抜いています。そして中国の後に続く国は、人口の多いインドかと予測されるかもしれませんが、意外なことにインドネシアでした。
人口が2億6,400万人のインドネシアでは、アジア大陸での13.04%の無断転載が起きています。この東南アジアの国が何千もの火山島で構成されている人気の旅行先であるという事実が、その理由の推測を容易にするかもしれません。インドネシアでの画像の無断転載に関する地元の観光業界の実体は、宣伝用の素材としてライセンスのない画像を使用することがよくあるのです。インドネシアに続いて、アジアで3番目に無断転載が起きている国は12.31%で、技術大国の日本でした。
無断転載されやすい画像解析度は?
また1年分のヒット数を画像サイズで分析したところ、明らかになったことが1つあります、使用されているフォーマットは、使用目的と表示デバイスによって異なると言うことです。したがってCOPYTRACKデータベースは様々な画像解像度の画像があり、使用されている何千もの異なるフォーマットがあります。この調査期間中に、22,676の異なる画像解像度のヒットを記録しました。
ライセンスのない画像に使用される最も一般的なサイズは1920×1080のフルHDフォーマットです。壁紙や大きなフォトギャラリーなど、画面いっぱいに表示する必要がある際に、使用者はよくこの形式を選択します。残りのトップ10の画像解像度はかなり小さくなっています。最も一般的に使用されているフォーマットは3:2(または2:3)と1:1です。2番目に一般的な画像解像度である600×400ピクセルのサイズの画像は、記事やブログで大きなテキストブロックを分割するためによく使用されます。
不思議なことに、800×800ピクセルの画像解像度が3番目となっています。携帯電話やコンピューターのモニターは一般的にワイドスクリーンを使用するので、大きい画像は通常は横幅がある(横長モード)または高さがある(ポートレートモード)かのどちらかです。1:1フォーマットは、小さな製品プレビューやアバターによく使用されますが、これには800×800ピクセルはかなり大きくなってしまいます。
無断転載のドメイントップ10
COPYTRACK無断転載グローバルレポート2019は、トップレベルドメイン(URLの最後の部分)の分析で締めくくられます。分析には計505の異なるトップレベルドメインが含まれています。.comで終わるドメインは世界中の企業や個人の間で非常に人気があり、登録時に地理的な制限はありません。したがって、このドメインがライセンスされていない画像使用の全体の48.76%を占めていても、それは当然のことです。そこから大きな差があり、国際的にこちらも使用されている.netドメインが2番目となっています。
3番目は地理的な場所にリンクできるドメインとして、ドイツの.deドメインとなっています。それに続いて国際的なドメインとローカルドメインが混在します。具体的には.ru(ロシア)、.org(組織に使用されるドメイン)、.it(イタリア)、.info、.jp(日本)、.co.uk(米国)10位は、ポーランドで使用されているトップレベルドメインの.plです。
結論:まだまだ先は長い
COPYTRACK無断転載グローバルレポート2019が示したのは、地球上のほぼ全ての国で写真や画像が無断でかつ大規模に使用されていると言うことです。GoogleやYahooなどが著作権者を確実に識別するための努力をしてはいますが、この問題はまだまだ継続すると予想されます。幸いなことに写真家や著作権者は、画像の無断転載が発生した後でも依然としてフェアな対応を求めることができます。COPYTRACKサービスはまさにそのためにあり、著作権者が労力や経済的リスクを必要とせずに自分の画像の管理するためのサポートをしてます。
Written by John Peacock
どの都市でよく無断転載が起きているかについてご興味をお持ちいただけましたか?それぞれの大陸や国での画像無断転載の状況をご覧になられますか?
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