CCライセンスとは?と思ったことがある方、それはあなただけではありません。フォトグラファーの皆さんや他の画像の著作権者にとって、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは無料で画像のライセンシングができる簡単な方法として挙げられます。と同時に“CCライセンス”と呼ばれているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、時にフォトグラファーと画像ユーザーの間で混乱を招く原因となることがあります。
その理由として「無料で利用できる」ということを「使用のルールがない」と実際に全く根拠もなく勘違いされやすいということが挙げられます。この誤解は多くのユーザーやフォトグラファーの「じゃあクリエイティブ・コモンズ・ライセンスって一体なんなんだ?」という疑問につながっていきます。本記事ではCCライセンスの扱いについて明確に理解できるよう、CCライセンスの取り扱いについて知っておくべきすべてのことを解説していきます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは?
クリエイティブ・コモンズ(CC)は、法的に保護されたコンテンツを共有する目的で既製のライセンス契約を著者に提供する非営利団体です。またCCライセンスは、著作権で保護された作品の使用を契約にて規制する簡単な方法です。これは世界中で有効、つまり世界中で適用可能なのです。
クリエイティブ・コモンズ自体はコンテンツの発行者でもCCライセンス契約に基づいてコンテンツを配布する著者および著作権者などの契約当事者でもありません。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス自体はコンテンツの使用方法を制限するために、著者の独自の判断により使用されます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの異なるタイプとは?
4つのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスオプションを組み合わせる事によって、合計6つの異なるCCライセンス契約を形成できます。全てに共通しているのは、CCライセンス下の著作物が常に無料で提供されていると言うことです。さらに著作権と出典を常に明記する必要があります。CCライセンスのもう一つの重要な特徴は、一度設定をしたら取り消せないということです。つまり一度使用許可を出してしまえば遡ってこれを撤回することが出来ないということを意味しています。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで作品を識別するために、記号とレターコードを使用して特定のライセンスを表します。これにはそれぞれのライセンス間に3つの主要な異なった違いがあります。それは著作物の処理・著作物の改変の継承・商用利用の有無です。
6つの異なるCCライセンスのレターコードが意味するものとは?
著作物を使用するにあたっての最も重要な条件は、それぞれのCCライセンスの種類の名前によって識別可能です
CC BY (表示) : 最もシンプルなCCライセンスであり、使用者は原作者を表示することだけが条件。このタイプのCCライセンスを使用する際は改変をするのも、商用利用も可能である。
CC BY-SA (表示–継承) :写真の継承条件が定められており、原作者の表示が必要であり、改変可能ではあるもののその場合には元の作品と同じCCライセンスで公開しなければならない。
CC BY-ND (表示–改変禁止): 画像の改変は許可されていない。原作者の表示があり、改変されていない画像であれば商用利用も可能である。
CC BY-NC (表示–非営利): 原作者の表示が必要でありかつ商用利用が許可されていない。したがってオンラインショップや再販時の製品画像のような使用ができない。
CC BY-NC-SA (表示–非営利–継承): 原作者の表示が必要でありかつ商用利用が許可されていない。さらに改変された場合でも同じライセンス条件下で公開されなければならない。
CC BY-NC-SA (表示–非営利–継承): 原作者の表示が必要でありかつ商用利用が許可されていない。さらに改変された場合でも同じライセンス条件下で公開されなければならない。
適切な略語を使用することで、作者は自分の作品の使用条件を明確かつ簡単に設定できます。しかし画像の対象となるCCライセンスは、明確に識別可能なメタデータとともにエンドユーザーにより関連コンテンツに示されなければなりません。この重要なライセンス情報によりコンテンツがどのような形で使用可能なのかを世界中のユーザーや検索エンジン、ウェブブラウザーなどの全てが知ることが出来ます。ライセンスの選択に困った時にはこのクリエイティブ・コモンズのウェブサイトにアクセスすれば、わずか数クリックでどのライセンスが最も適しているかを見つけることが出来ます。
CCライセンスを使用したとはいえ、著作権者と画像使用者の間で別に取り決めをすることは可能です。例えばフォトグラファーが撮影した画像をCCライセンス(表示—改変禁止)と共にインターネット上で公開した場合、商用利用可能であるか、また画像処理が可能であるかといったユーザーからのリクエストに後から対応することが出来るのです。
著作権者にCCライセンスがもたらすメリットとは?
著作権者はCCライセンスの助けによってさらに多くの選択肢から選べるようになりました。もしこういった契約方法がなければ、著作権者は法的保護規定「All Rights Reserved」で自分の作品を公開するか、もしくは自分の作品をまったく発表しないという選択肢しかなかったでしょう。この形式の法的保護は、公開時の画像の使用方法について特別な規定を設けたくない場合にのみ機能します。
正確に言うと「All Rights Reserved」下の画像は第三者が使用することはできません。しかしながらいつも著作権者の希望通りになるわけではありません。例えばもし著者が他のユーザーに使用されたいという目的で画像を公開するのであれば、その使用用途に限定したライセンスを許可しなければなりません。
一般的にクリエイターのみならず多くの人々は適切かつ合法的な画像のライセンス契約を作成するにあたり、必須である法律の専門知識を持ち合わせていないことが多いです。またその代わりにライセンシングの手順を弁護士などの専門家に依頼するのには多くの費用がかかります。一方、もし保護されてない状態で作品を公開したくないという時には実用的でコストがかからないという利点のあるCCライセンスはとても便利なものであるといえます。少なくともCCライセンスは、創作者とユーザーの両方に一定の法的確実性をもたらしているのです。
インターネット上で自身のコンテンツを配布する上でCCライセンスを使用する最大のメリットは、この複雑なライセンス契約を作成する必要性をなくした使いやすさ利便性にあるといえます。さらにこれは著作物にCCライセンスの適切な略語をつけるだけで十分機能するのです。
明確に定義された使用規定とは別に、CCライセンスの使用には他にもいくつかの利点が挙げられます。フォトグラファーの中には、ある形式において自分たちの創作物へのオープンかつ自由なアクセスを支持しているという理由からCCライセンスを使用している人もいます。それどころか、オープンライセンスモデルが多くのコミュニティの中で受け入れられつつあります。事実クリエイターは、自身の画像をCCライセンスと共に追加することにより、使用可能な素材を増やすことに貢献したいと考えています。
さらにCCライセンスと共に自身の作品を公開し使用を促進するということは自身の評判を築くと言う意味でも有効な方法であり、多くのフォトグラファーがこれを使用しています。
もしCCライセンスのような無償のライセンス形式がなければ、画像を使用する際ユーザーは毎回創作者に使用権をリクエストしなければいけなくなるでしょう。これは多くの場合、著者の望んでいない無断転載の引き金になったり、画像が全く使用されないと言う結果を引き起こす要因となります。
自分の作品が広まり再利用されることを嬉しく思うフォトグラファーも中には居ます。無償のライセンスで作品をリリースすると、潜在的なユーザーがライセンスされたコンテンツを自由に検索できるため、明らかに作品の広がりをもたらします。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、CCライセンスのバリエーションが許す範囲で画像を使用できるようにしたいフォトグラファーにとっては、正しい選択と言えます。CCライセンスはフォトグラファーが自分の画像を提供する時に管理された方法でユーザーに公開ができるという性質をもっています。この方法で画像のライセンシングをすることにより、フォトグラファーは自身とその画像ユーザーの両方に大きな法的確実性をもたらすことができます。その結果としてフォトグラファーは自分の作品をより広めることができるのです。
クレジット表示はCCライセンスモデルで常に満たされなければならない条件なので、配布された画像はその作者にとって広告的な利益と見なすことができます。これは特に、自分の作品をできるだけ早く広めたいと思っているフォトグラファーに当てはまります。もし彼らの考えがCCライセンスの与えられた条件に当てはめられないのであれば
個別の使用許諾契約をするしかないでしょう。
CCライセンスのデメリットとは?
CCライセンスを使用して画像ライセンスを取得する場合、制限なしでの使用はできません。最低でも著者の名前を明記するなどそれぞれ6つの異なる条件がユーザーに課されます。ここでCCライセンスのデメリットが浮き上がってきます。画像にCCライセンスを付与するのは簡単ですが、個々で独立したライセンス契約ほどに多くの選択肢はありません。例えば、画像の使用期限を設けることはCCライセンスではできません。このため使用期限の設定をしたい場合フォトグラファーにとって唯一の代替案は、CCライセンスを使用せずに自分でライセンシングをすることなのです。
またCCライセンスの他に注目すべき点は、一度選択されるとそれが法的契約となり、取り消すことができないことです。例えばもし誰かがCCライセンスで作品を公開後に自身の条件に合わないからと変更したくとも、ライセンスの利用規約を知らなかったという主張は通りません。自身の守りたい権利を思いがけず放棄してしまうといった事態を防ぐためにも、CCライセンスを使用しようとしている人は、誰でも前もって情報を知っておくということは常識と言えます。
CCライセンスに限ったことではありませんが、もし設定された条件に従って画像が使用されていなかった場合は、無断使用としてみなされる可能性が高いということです。いくら著作権者の許可がなく無料でコンテンツを使用できるCCライセンスとはいえ、ライセンス規約に従っていなければ無断使用に変わりはありません。
このような無断使用のケースで著作権者が賠償請求をできるかどうかはそのケースによって判断されます。しかしながら原則として、クリエイティブコモンズのライセンスが侵害されたとしても損害賠償の支払いはなされるべきです。
CCライセンスが設定されている画像の利用規約はある側面から見ると曖昧になっていることがわかります。例えばライセンス規約の「商用利用」は、詳しく定義づけされている訳ではありません。そこでは、商業的行為が直接的なビジネス上の利益または契約上合意された金銭的価値をもたらす行為であると漠然と定義しているだけです。この場合、画像が“どのように”使用されているかは、画像が“どこに”使用されているかよりも重要です。
また、ドイツのような一部の国ではCCライセンスは一般利用規約のようなものとしてみなされていることにも注意が必要です。ライセンス規約がドイツの法律に違反し無効になった場合は、これは著者、すなわちフォトグラファーの責任となります。
CCライセンス作品を公開する上でベストな場所は?
ロイヤリティフリーの画像を検索・または公開しようとした時に、今や数え切れないほどプラットフォームが出てきます。ここでは現在より広く知られているロイヤリティフリー画像プラットフォームを紹介します。
ウィキメディア・コモンズ : 最も知られているロイヤリティ画像プラットフォームの中の一つはウィキメディア・コモンズです。おおよそ3900万もの画像ファイルを誇り、無料画像のプロバイダーの中で最も重要なポータルの一つです。
Flickr: FlickrはコンピューターからだけでなくEメールを経由して直接デジタル画像や短い動画を投稿・シェア可能なプラットフォームです。バンクーバーを拠点とするこの会社は、簡単に画像の権利を規制できるように様々なCCライセンス契約をユーザーに提供しています。
Fotolia: 2015年にAdobe Stockに買収されたFotoliaは、ロイヤリティフリー画像を1回のダウンロードまたは定期購入ベースのパッケージで販売しています。もしフォトグラファーとしてこのプラットフォーム上で画像を販売したい場合、匿名での販売は出来ないため本人確認をする必要があります。
Pixabay: 現在Pixabayは約140万枚に上る画像をデータベース上に保管しており、旧来のストックフォトプラットフォームに代わるハイクオリティな無料画像を提供しています。非常に興味深いことに、ストックフォトプラットフォームShutterstockの広告はPixabayのサイトで見つけることができます。
500px: 2009年にトロントで設立された500pxのフォトコミュニティの利用者は190か国から1300万人以上にのぼり、他のフォトグラファーへのインスピレーションと作品披露のためのプラットフォームとしての地位を築いています。彼らの目標はプロフォトグラファーと野心的なアマチュアの最高の作品群を提供することです。
Unsplash, Pexels, Pics.deなど: その他ロイヤリティフリー画像が定期的にアップロードされるデータベースは Unsplash、Pexels、Pics.de などです。そのほかの4Freephotosやpiqza.deのようなプラットフォームでも多くのフォトグラファーのコミュニティが参加しロイヤリティフリー画像を一般に公開しています。
Flickrは最近無料ユーザーの画像アップロード上限を1000枚に変更し、50ドルを支払っている有料会員には無制限アップロードを許可するようサービスの変更を行いました。これにより超過分のコンテンツは削除されますが、良いニュースとしてはクリエイティブ・コモンズの画像はそのまま保存されます。 Flickrブログ上でのSmugMug共同創設者Don MacAskil氏によると「2018年11月1日以前にCCライセンスとしてアップロードされた全ての画像は削除されることはありません。これには1000枚以上のクリエイティブ・コモンズの画像をアップロードしたユーザーも含まれます。しかしもしこの変更が適応される2019年1月8日以降にこれ以上の画像をアップロードしたい場合はProバージョン(有料版)に変更する必要があります」とのことです。
CCライセンスの作品が表示に従って使用されていない場合の対処法とは?
CCライセンスのコンテンツはユーザーが適用されるライセンス規約に従っている限り、いつまででもそれを使用し続けることができます。明確な法的規制があるにも関わらず、原作者の意図とは裏腹にクレジット抜きで画像が公開されることは珍しくありません。それゆえ著者は価値のある自身の作品の広告機会を失っているのです。この対応策として警告、または必要ならば裁判などの法的措置をしてクレジットの追加を要求することができます。もしこの様な訴訟が起こった場合、フォトグラファーは通常ライセンス料と100パーセントの追加使用料を得ることができます。
それでは、CCライセンスが不完全または不適切なライセンス情報とともに配布されている場合はどの様な対応が考えられるでしょうか。この場合、作品の著者は警告という形でアクションを起こせます。CCライセンス作品の著者の中には、特定の形式での帰属が選ばれていたり、別のリンクを選択することを要求する人もいます。
たとえCCライセンスでの画像公開が無料だからと言っても、フォトグラファーは損害賠償請求をすることができます。この場合、金額は写真の見込み金額に基づいて計算されます。これはドイツのMFM計算、イギリスのAOP計算などに類似したライセンス計算方法などの料金推奨によって決定できます。
CCライセンスバージョン4.0でアップデートされた点とは?
クリエイティブ・コモンズバージョン4.0ライセンスは、著者情報を明確に割り当てることをさら容易にすることで、インターネット上の現在の帰属慣行を尊重しています。そのために画像制作者は「クレジット」ページをウェブサイト上に作ることが義務付けられています。そして画像ユーザーはオリジナルURLと共にそのクレジット情報があるページを訪問できるようになります。ブロガー、ジャーナリスト、企業は、今や通常のライセンスコードと著者名を表示するのではなく、サイト上で著作物を使用する際にリンクを貼ってくれるのです。この便利な情報のおかげで、どんな画像でも素早く簡単に元の場所とライセンスにたどり着け、またそれによりクリエイターが自身の作品をアピールし注目を集められるようになりました。
もし何らかの理由により著者の名前を表示したくないということであれば、今やクリエイターとしてクレジット表示を取り除くようリクエストすることができます。既にクリエイティブ・コモンズ3.0ライセンスにて本機能は実装済みでしたが一部の作品に限られていました。しかしながら4.0になり、全ての作品に適用されるよう範囲が拡大されました。
さらなる革新的なことは、元はアメリカの法体系の為に作られ、他の国々の法律には互換性が無かったCCライセンスの世界的使用です。クリエイティブ・コモンズは世界中の法律専門家と60を超える国々から法システムを取り入れるため6年という月日を費やしました。この“ポーティング”と呼ばれるものはこれからのクリエイティブ・コモンズ4.0では必要ありません。なぜならライセンスは世界的に有効であり即時使用可能な状態にあるからです。またクリエイティブ・コモンズ4.0ライセンスで提供される30日間のライセンス侵害修正ウィンドウが新しくなりました。最新のライセンスモデルでは、ライセンスに問題があると見なされるまでに、画像ユーザーは侵害を修正するために30日間が与えられます。
Written by Dr. Daniela Mohr