Facebookに関する統計によると、驚くべきことに毎日数億もの画像がこのプラットフォーム上でシェアされているとのことです。旅行時のセルフィーや赤ちゃんの写真から本格的なプロの写真まで幅広くシェアされている一方で、多くのフォトグラファーはFacebookへの自身の作品の投稿を一切やめる決断しています。実際にFacebookで画像をシェアする決断の前に考えるべき重要な質問があります。特に、Facebookに画像をアップロードすることはどの様な危険性があるのか?画像の無断転載からプロのフォトグラファーはどの様にして自分の身を守るのか?これらの疑問を踏まえてCOPYTRACKはFacebookに画像を投稿する前に知っておくべきことを以下にまとめました。
Facebook上に投稿された画像は誰のもの?
先述した通りフォトグラファーがFacebook上に画像を投稿しないということは特段珍しくはなく、その背景にある理由は実際とても興味深いものです。多くのフォトグラファーが画像の無断転載を避けたいという理由から確実にFacebookへの画像投稿を避けている一方で、画像を投稿することによりFacebookに写真の所有権が移ってしまうことを恐れるフォトグラファーもいます。もちろんFacebookに投稿したからといってその画像が直ちにFacebookの物になる訳ではありません。ただし、注意しなくてはならないのは自分の作品をアップロードしたときにFacebookに付与される著作権のことです。
► 本当に起こり得ること?
Facebookの利用者規約(2019年4月現在)上の項目3.3.1にある「作成およびシェアされたコンテンツの利用に関する許可」に明記されている様に、Facebookはプラットフォーム上に投稿された画像の所有権を奪ってしまうということはありません。Facebookはこれに関し規約上でも明記しています : 「利用者がFacebookや利用中の他のFacebook製品において作成およびシェアしたコンテンツの権利は、利用者に帰属します。本規約のいかなる規定も、そのコンテンツに関して利用者が有する権利を奪うものではありません。利用者は、自分のコンテンツを、誰とでも、好きなところに自由にシェアすることができます。」
この項の面白い部分は、しかしながら以下の様に明記されている最後の文にあります : 「ただし、弊社がサービスを提供するにあたり、コンテンツの利用に関する法的許可を利用者から付与していただく必要が生じる場合があります。 特に、利用者が製品上で、またはこれに関連して、知的財産権の対象となっているコンテンツ(写真や動画など)をシェア、投稿またはアップロードする場合、利用者は、弊社が(利用者のプライバシー設定およびアプリ設定に沿って)利用者のコンテンツをホスト、利用、配信、変更、運営、複製、公演、公開、翻訳および派生作品を作成する非独占的、譲渡可能、サブライセンス可能な全世界を対象とするライセンスを付与するものとします。」
一般利用規約(GTC)におけるこの条項の法的妥当性は、しかしながら完全には理解されていません。 これまで、このような条項は消費者団体による訴訟の後、ベルリン高等裁判所により無効と判断を下されていました。この判決の背後には、時にFacebookの条項が不明確で理解し辛く、透明性の要件に違反しているという理由が挙げられます。
Facebookが必要な著作権
事実、Facebookがアップロードされた写真に関する条項を含める決断をしたのには理由があります。それは著作権の機能上、フォトグラファーまたは著者だけが自分の写真を複製して公開できるようにすることができるからです。もしFacebookがフォトグラファーの著作権を侵害したくなければ、単純にライセンスを得ればいいのです。
Facebook上に画像が投稿される度にFacebookの世界中のサーバーに画像のコピーが保存され、それによりどこでも同じスピードで画像を取得することができます。
利用規約で言及されているライセンスがなかった場合これはFacebookの著作権侵害になりかねません。さらに画像はプレビューでも配布されFacebookによりパブリックアクセスが可能なものとなっておりこれもまた著者の同意が必要です。
フォトグラファーにとってこれは何を意味しているのか
この情報により、Facebookがアップロードされた写真を使用して私腹を肥やしてはいないということが明確になりました。事実彼らのライセンシング業務は、主にFacebookの機能を維持し、フォトグラファーがFacebookに写真を投稿することにより権利を完全に放棄しないということを保証するのに役立ちます。画像がプラットフォーム上に投稿された時Facebookに付与されたライセンスは非独占的なものなので、著者は画像を再利用することも、第三者にライセンスを付与することも可能なのです。シンプルに画像をFacebook上から消すだけで利用規約は無効にすることができます。
しかしながらもし画像が他のユーザーによって再シェアされていた場合Facebookはたとえオリジナル画像が削除されていたとしてもライセンスを保持できます
これらの情報からFacebookが完璧に機能するためにライセンスを得る必要があることが判明したので、Facebookユーザーは現在の形の利用規約に従えるかどうか依然として検討する必要があります。最終的には、フォトグラファーはどの様に自身の写真を配布するか自身で決めることができるのです。
フォトグラファーがFacebook投稿時に知っておくべきことは?
SNSの使用は現在のデジタル時代においてはごく当たり前のことであり、多くのユーザーはSNSの使用により引き起こされる無断転載のリスクについて考えることはほとんど無いと言えます。SNSの性質や広く使用されているということから、Facebookが公共の場所であるということもすぐに忘れられがちです。
► ということは、Facebookに写真を投稿すること自体がリスク?
簡単にいうと答えは「Yes」です。シェアした後あなたの作品は自身の手を離れ、もはやコントロールできるものではなくなるということからも、Facebookに画像を投稿することはリスクにつながります。多くのユーザーは画像を友達のみ共有していると考えがちですが、友達の数が多くなればなるほどシェアされた時それを見るユーザーの数は膨大になりこれはもはや「プライベート」であるとは言えなくなります。
Facebookの友達の輪の中で自身に権利がないコンテンツを広めることは根本的に合法ではありません。もし画像をシェアしようとする時はこれに気をつけなければなりません。一般的な経験則として自分の撮影していない写真の投稿を控えるということが最善策であると言えます。また、自身が撮影した画像を投稿するときは、コンテンツ配布のコントロールができなくなるということに注意してください。例え投稿時に「友人のみ公開」にしていたとしても全員がそれを見られる様にすることは簡単です。他人が関れば、著作権や自身の権利はあっという間に侵害されてしまうのです。
上記の更新された利用規約が明確に述べているように、Facebookはユーザーが第三者のコンテンツをアップロードすることを想定してはいない様です 。
利用者が利用中の他のFacebook製品において作成しシェアしたコンテンツの権利は利用者に帰属します。…
ユーザーに責任を割り当てることにより、Facebookは著作権問題から自身を守りたい様に見えます。さらにFacebookは第三者の著作権およびその他の知的財産権を尊重し、それがポリシーまたはガイドラインに違反している場合はすべてのコンテンツと情報を削除する権利を留保します。
裁判におけるFacebookの無断転載対応
著作権法によると、著者の同意なしに画像をシェアした場合は著者に費用を払わなくてはならない無断転載とみなされます。
ミュンヘン地方裁判所 (Judgment of 27.9.2017, Docket.: 142 C 2945/17) のこのケースではFacebookでの画像の無断転載を取り上げ、非常に興味深い判決を下しました。このケースでは、同僚がアップロードした2枚の写真を自分のFacebookページでシェアしていた政治家を対象にしていました。残念ながらこの政治家は同僚が写真の撮影者に投稿の許可を得ているかどうか確認していませんでした。
地方裁判所はフォトグラファーに有利な判決を下し、Facebookでの共有も著作権法の範囲内であると判断しました。Facebookプロフィールにて画像をシェアするということによりプロフィールの所有者は画像を訪問者に認識可能にします。従ってこのケースは著者の同意なしに自分に権利がない画像をプロフィール上でシェアすると、著者の権利を侵害しているという先例になったと言えます。この政治家のケースでは彼の同僚が許可を持っていると思い込んでおり同僚に責任があると主張しましたが、これが判決を覆すことはありませんでした。
本判決から分かることは、知らなかったということでは著作権侵害が免除される理由にはならないということです。こういった立場をとることにより、ドイツの裁判所を含むヨーロッパの裁判所では画像を公開可能かどうか確認する責任は、公開しようとしている人にあるということです。もし誰かが自身に権利がない作品を投稿し全く知らなかったということを主張した場合でも、これは過失行為とみなされ損害賠償を払わなければならない理由に十分なり得るのです。
今までFacebookのようなSNSでの画像使用に関する法的条件は非常に不透明だったので、この判決は制作に携わる人々にとってはとてもいいニュースあると言えます。このケースにより不明であった分野の少なくとも1つの側面が明らかになり、SNS使用者はその法解釈に従う必要が出てきました。
もしFacebook上の写真が無断転載されたらどうする?
もし予想しないところで自分の投稿した画像が出てきた場合、初めにするべきことはその投稿者にコンタクトを取り削除を求めることです。その時は明確な期限を定めることが重要です。他の選択肢としては画像の削除を遂行するためプラットフォームの運営者に連絡を取り無断転載を報告することが挙げられます。
COPYTRACKではSNSのケースも商用目的で使用されていた場合に限り手動で提出することができます。COPYTRACKでの手続きについてはこちらから詳細を確認できます。
SNSにおける画像の無断転載がすでに広がっていることは今更驚くべきことでもない様に思えます。留意すべきことは無断転載により経済的損失を被っている有名な写真家であって初めてこういった問題を訴える価値があるということです。もしこれに当てはまりかつ法廷に行くことになるのであれば、あなたにとって良いチャンスです。他方で、趣味で撮影をしているアマチュアフォトグラファーは法廷での成功率は遥かに下がってしまいます。
EU著作権改革はFacebook上の画像にどの様な影響が?
GoogleやYouTube、Facebookなどのインターネットプラットフォームは、無断転載が発生したことを認識した時点でコンテンツをブロックする必要があります。2021年に新しい著作権法が施行されれば、執筆者や著者、ミュージシャンが自身の収益を保つという観点から作者の同意がないコンテンツは表示されなくなるかもしれません。
EUの著作権改革は、YouTubeやFacebookなどのWebサイトに大きな影響を与えるでしょう。改革の現在の最終案では、ウィキペディアや中小企業などの非営利プラットフォームや設立が3年未満の場合または年間収益が1,000万ユーロ未満の場合は免除されます。
著作権指令は、より大きなプラットフォームに著作権のある作品をそこからアクセスできない様にする責任があると定めています。そのプラットフォーム上での無断転載があった場合、彼らは今後は直接責任を負います。これは、オンラインでの著作権法に関して以前に機能していたものとはまったく対照的になっています。日々インターネット上で膨大なデータがシェアされているが故にアップロードフィルタリングと呼ばれるものの助けを得ることによりこれが現実となるでしょう。これは著作権で保護されている文章や画像、音声ファイルを投稿時にブロックできる様にする機能のことを言います。
批評家たちはこの著作権指令が無料のインターネット時代の終焉を迎えるシグナルであるという懸念を抱き、またこれは一種の検閲であると強く警告しています。欧州議会はこの状況を認め「正当なコンテンツが時に除外される可能性があるという申し立ても一理ある」と述べ、ユーザーが不当な削除や妨害から身を守ることを許可する準備をしています。
もう一方の懸念はミームの様なテキスト、画像、およびオーディオファイルの風刺的で創造的な使用法に関するものです。しかし本指令を実施する際、参加国は「引用、批評、レビュー、漫画、パロディなどを目的とした作品の一部」の自由なアップロードを保護することが求められます。
結論 : 「安全第一」が
フォトグラファーのキーワード
自身の作品をFacebook上で公開するときは、自身の意思に反して作品が使用される可能性があることをいつも気に留めている必要があります。もし「シェア」機能を使用し画像が広められたのであれば、その画像がダウンロードされ再アップロードされることもあります。最近の訴訟の進行によりFacebookはパブリックユースの限界に達していることは明らかであり、プラットフォームの使用者は著作権法を遵守する必要があります。それでもFacebookの曖昧な利用規約に同意して写真を投稿するのか、または全ての大きなSNSプラットフォームから写真の投稿を控えるのか、決断はあなたに委ねられています。
Written by Dr. Daniela Mohr